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3Dプリンタを買った

Bambu LabのP1Sという3Dプリンタを買った。少し前に出たばかりの機種で、同じメーカーのP1Pという機種にエンクロージャ(覆い)がついたようなモデルだ。

家庭用の3Dプリンタは安いものなら数万円で買えるが、これは12万円弱で、価格帯としてはミドルレンジにあたるのだろうか。会社の表彰制度で社長賞を頂戴して気が大きくなっていたので、ついに買った。何かを買うときに、少しいいものを選びがちな性分で、安物買いを恐れている。入念にインターネットで検索をして、FDM(熱溶解積層)法で、Core XY方式であり、エンクロージャで覆われている、不具合の少なそうな機種を選んだ。

3Dプリンタを選ぶのは相当に難しいことだ。何を基準に選んだらいいのかも知らないし、進歩が激しい分野だから、状況が変化しやすい。

もしも家電量販店で販売されているような製品であれば、家電量販店の売り場にしばらくいれば、だんだんと事情が掴めてくるものだ。商品のひとつひとつに主だった特徴が書かれていて、例えばパソコンなら、CPUが何で、メモリが何GBで、ストレージがどうで、インターフェースが……、というのがまとめられている。それがドラム式洗濯機であっても、乾燥機能がヒートポンプ式なのかヒーター式なのか、洗濯の容量、洗剤自動投入機能がついているか、一目でわかる。つまりそういったことが製品を差別化していて、それに気を配ればよい、ということだ。

そういうポイントを知らない状態で3Dプリンタを選ぶのは困難だから、かなりの時間をかけて、何となくの知識を得た。

この過程でわかったことだが、3Dプリンタを愛好する人たちの多くにはメイカー文化が根付いていて、3Dプリンタそれ自体もその対象となっている。つまり3Dプリンタそのものについて、自分たちで手を加えやすいものが好まれている。これにはフリーソフトウェア運動的な側面もあって、プリント可能な3Dプリンタのパーツのモデルが多く公開されている。

それはさておいて、何となくの知識でBambu Lab P1Sを注文し、3日後には届いた。

P1Sを設置するのは、付属する印刷物を読めば難しくない。Bambu Labが公開しているYouTubeの動画でも予習してあったので、特に苦も無く済んだ。電源が国内で一般的な2ピンではなく3ピンタイプなので、変換してやる必要はあるが、これも事前にアダプタを用意していたので問題ない。

設置後に早速、Benchyと呼ばれる船のモデルをプリントしてみた。3Dプリンタベンチマークとされる船は、だいたい20分弱できれいに出力された。これは3Dプリンタとしてはかなり早い部類で、Bambu Labのセールスポイントだ。

そこから、Autodesk Fusion 360の個人利用版を使って、CADを学んでいる。スケッチから立体を作るフローがわかってきて、単純な形状なら作れるようになった。今朝は毎月頼んでいるレターのスタンドをプリントしてみた。プリントにかかった時間は30分くらい。まあまあかな。

使い途の当てもなく3Dプリンタを買ったが、自分でモデリングしたかたちをプリントできたとき、えもいわれぬ感慨を得た。コンピュータの中にしか存在しなかったものが、実際に触れるものとしてできあがると、嬉しいものだ。ましてそれが家にいながらにしてとなれば格別である。